ー造園施工で失敗しないための基礎知識とチェックポイントー

Tweet

Share on Tumblr

造園施工とは？基本を分かりやすく解説

「造園施工」とは、図面やイメージパースをもとに、実際の現場で庭や外構を形にしていく工事のことです。植栽を植える、芝生を張る、小径をつくるといった見た目の部分だけでなく、地盤づくりや排水、基礎づくりなど、完成後には見えなくなる大事な工程も含まれます。設計と施工がしっかり噛み合ってこそ、長く快適に使える庭やアプローチが生まれます。

造園施工の質によって、同じデザインでも仕上がりが大きく変わってきます。きれいに見えるだけでなく、雨の日に水たまりができにくいか、段差でつまずきにくいか、雑草が生えにくいかなど、暮らしやすさにも直結します。そのため、これから庭づくりや外構リフォームを考えている方は、施工の内容や流れを知っておくと安心です。

造園施工の役割と範囲

造園施工の役割は、設計で決めたプランを現場で再現しつつ、状況に合わせて微調整しながら形にしていくことです。図面どおりに進めるだけでなく、土地の高低差や土質、周辺環境、既存の構造物などを踏まえ、「この高さだと水が溜まりそう」「ここは段差を少なくした方が安全」といった判断も求められます。

範囲としては、土工事、ブロック積みや石組み、コンクリート打設、フェンスや門柱の設置、ウッドデッキやテラスの施工、植栽や芝張り、砂利敷き、照明の設置などが含まれます。規模の大小はあっても、これらをバランスよく組み合わせることで、使いやすく見た目も良い外構や庭が完成します。

設計図どおりに仕上げるためのポイント

設計図どおりに造園施工を進めるには、事前の打ち合わせと現場でのコミュニケーションがとても重要です。紙の上では問題なく見えるプランでも、実際に現場に立ってみると「思ったより狭く感じる」「窓からの視線が気になる」などの差が出てくることがあります。

そのため、着工前にはもう一度現場でプランを確認し、必要であれば職人さんと一緒に位置を微調整してもらうと安心です。特に、シンボルツリーの位置やアプローチの幅、駐車スペースの広さなどは、毎日の使い勝手に影響するポイントなので、施工前にイメージを共有しておきましょう。

造園施工の主な工程と現場で行われること

ここからは、一般的な戸建て住宅の庭や外構で行われる造園施工の流れを見ていきます。工事内容や規模によって多少の前後はありますが、大まかな工程を知っておくことで、「今どの段階なのか」「次に何が行われるのか」が分かり、安心して工事を任せやすくなります。

事前準備と地盤づくり

造園施工のスタートは、敷地の高さや勾配を整える「土工事」から始まります。余分な土をすき取ったり、足りない部分に土を入れて転圧したりしながら、全体の高さを調整していきます。ここでしっかりと地盤を固めておかないと、完成後に地面が沈んだり、舗装面にひびが入ったりする原因になります。

また、雨水の流れを考えた排水計画も重要です。水が溜まりやすい場所には排水マスを設けたり、勾配をつけて道路側や排水溝に水が流れるようにしたりします。表面だけをきれいに仕上げるのではなく、「見えない部分」を丁寧に施工しているかどうかが、造園施工の品質を大きく左右します。

構造物の施工（アプローチ・テラスなど）

地盤が整ったら、次にアプローチや駐車場、テラスなどの構造物を施工していきます。コンクリートを打設する場合は、ワイヤーメッシュと呼ばれる鉄筋を入れ、ひび割れを防ぐ工夫を行うのが一般的です。タイルや自然石を貼るときは、下地のコンクリートを水平に仕上げたうえで、目地の幅をそろえながら丁寧に敷き詰めていきます。

ウッドデッキやフェンスなどの木材・金物を使う工事では、柱の基礎や金具の固定がとても重要です。見た目が同じようでも、下地の作り方ひとつで耐久性が大きく変わります。完了後は、部材にぐらつきがないか、高さや水平がきちんと出ているかなどを一緒に確認しておくと安心です。

植栽・芝張り・仕上げ作業

構造物の施工が終わったら、いよいよ植栽や芝張りなどの「見える部分」の造園施工に入ります。樹木を植えるときは、根鉢より一回り大きい穴を掘り、支柱を立てて風で倒れないように固定します。植え付け後はたっぷりと水を与え、根がつくまでの間は乾燥しすぎないように管理することが大切です。

芝張りやグラウンドカバーを施工する場合は、土づくりも重要なポイントです。表面の石や古い根を取り除き、必要に応じて山砂や腐葉土を混ぜながら整地してから芝を張ります。最後に、砂利敷きやマルチング、目地部分の砂入れなどの仕上げ作業を行い、全体のバランスを整えて造園施工は完了となります。

品質の高い造園施工にするためのチェックポイント

せっかく造園施工を依頼するなら、見た目だけでなく、長く快適に使える庭や外構にしたいですよね。そのためには、工事中や完成時にいくつかのポイントをチェックしておくことが大切です。難しい専門用語が分からなくても、押さえるべきポイントを知っておけば安心感が違います。

水はけや勾配は適切か

まず確認したいのが、水はけや勾配のつけ方です。雨のあとに水たまりができやすい場所がないか、建物側に水が流れないようになっているかは、造園施工の品質に大きく関わります。完成直後だけでなく、雨の日や散水後の様子も見ておくと、問題が早めに分かります。

勾配がきちんと取れていないと、舗装面に汚れがたまりやすくなったり、冬場に凍結して滑りやすくなったりすることもあります。図面だけでなく、実際の仕上がりを自分の目で確認することが安心につながります。

植栽の配置と将来の姿

植栽は、造園施工の中でも見た目に大きく影響する要素です。しかし、植えた直後の姿だけで判断してしまうと、将来「思ったより大きくなりすぎた」「隣家の敷地にはみ出してしまった」といったトラブルにつながることもあります。

打ち合わせの際には、樹種ごとの成長スピードや将来の樹高、剪定の頻度などを確認しておきましょう。通路や窓の前には、管理しやすい樹種や常緑樹を選ぶ、落葉樹は落ち葉の掃除がしやすい位置に植えるなど、暮らし方に合わせた配置が大切です。

安全性とメンテナンス性

造園施工では、安全性とメンテナンス性も見落とせません。段差の高さやステップの奥行き、手すりの有無などは、特に小さなお子さまや高齢の方がいるご家庭では重要なポイントです。夜間に歩く可能性のある場所には、足元を照らす照明を設置しておくと安心です。

また、「自分たちでどこまで手入れできそうか」を考えながら、素材や植栽を選ぶことも大切です。例えば、頻繁な剪定が必要な生垣よりも、管理が楽なフェンス＋ポイント植栽の方が合うご家庭もあります。ライフスタイルに合わせた造園施工をすることで、無理なくきれいな状態を保ちやすくなります。

造園施工業者との上手な付き合い方

最後に、造園施工を依頼する業者との付き合い方についても触れておきます。同じ図面でも、選ぶ業者によって仕上がりや対応は変わります。納得のいく造園施工にするためには、信頼できるパートナー選びと、工事中のコミュニケーションが欠かせません。

打ち合わせでしっかりイメージを共有する

打ち合わせの段階では、好みのテイストや使い方、こだわりたいポイントをできるだけ具体的に伝えましょう。「ナチュラルな雰囲気が好き」「なるべく手入れを少なくしたい」「子どもが走り回れるスペースが欲しい」など、言葉でのイメージ共有が大切です。

あわせて、インターネットや雑誌で見つけた参考写真を見せたり、「これは好き」「これはあまり好みではない」といった感覚も伝えたりすると、施工側もイメージをつかみやすくなります。造園施工はオーダーメイドに近い仕事なので、最初のイメージ共有が仕上がりに大きく影響します。

見積もり・工期・保証内容を確認する

見積もりをもらったら、金額だけでなく内容もチェックしましょう。どの部分にいくらかかっているのか、植栽の本数やサイズ、使用する素材の種類などを確認しておくと、後からの認識違いを防げます。分からない項目があれば、その場で質問して丁寧に説明してもらうことが大切です。

工期についても、着工日と完了予定日、天候不良の場合の対応などを確認しておきましょう。さらに、植栽の枯れ保証や構造物の保証期間、アフターメンテナンスの有無もチェックしておくと安心です。造園施工は「工事が終わったらそれでおしまい」ではなく、完成後の付き合いも含めて考えることが重要です。

完成後の相談もしやすい関係づくり

造園施工が終わったあとも、剪定や植え替え、追加工事の相談などで業者に連絡する場面は出てきます。そのときに相談しやすい雰囲気かどうかも、業者選びの大切なポイントです。小さな不安や疑問にも丁寧に答えてくれる会社であれば、長く安心して任せることができます。

定期的なメンテナンスや点検をお願いすることで、庭や外構の状態を良好に保ちやすくなります。造園施工は一度きりの買い物ではなく、暮らしを支える「環境づくり」と考えて、信頼できるパートナーと一緒に育てていくイメージを持てると理想的です。